東京高等裁判所 昭和49年(ネ)647号 判決
なお、≪証拠≫によれば、被控訴組合の規約は、第二七条(本件当時においては、第二五条。以下同じ)において「組合を脱退する者は、別に定める書面に自筆で署名し、その理由を明らかにして申し出て、組合の承認をうける。」(第一項)、「前項の規定による申出書は、所属機関を経由して地方本部にあて提出し、地方本部執行委員会は脱退を承認することができる。」(第二項)、「脱退は組合の承認があったときに、その効力を生ずる。この場合の期限は一カ月以内とする。」(第三項)と定めている。控訴人らはこの規定は公共企業体等労働関係法第四条第一項に牴触するから全体として無効であると主張するが、右第二七条の規定は、脱退の要件として書面主義、理由明示、組合の承認の三者を定めたものであって、そのうち脱退に理由の明示を要求し、さらにはこれを組合の承認にかからしめるが如きはもとより組合員の脱退の自由を制約するものとして無効と解するに妨げないけれども、書面主義の要件すなわち組合を脱退する者は自ら署名した書面(脱退の申出書)を所属機関を経由して地方本部に提出すべきものとしている点は、組合員の脱退の自由に対する実質的な制限に当らず、公共企業体等労働関係法第四条第一項にも牴触しないのみならず、脱退という事柄の性質上組織体において要請せられる明確性の必要に基づき当然要求されて然るべきものと考えられるので、これを無効と解すべき理由はなく、他の二要件が無効であっても、そのためにこの要件まで当然無効となるいわれはない。<中略>
控訴人らは本件の臨時組合費徴収の決議は公序良俗に反し無効であると主張する。ところで≪証拠≫によれば、昭和四一年の臨時組合費の徴収は、日韓闘争並びに昭和四一年春闘の犠救資金に充てるため被控訴組合第七六回中央委員会において、昭和四二年の臨時組合費の徴収は、(1)昭和四二年度春闘資金不足分、(2)昭和四一年春闘における犠救資金不足分、(3)当面の反合理化闘争資金、(4)地方本部交付金に充てるため被控訴組合第二八回全国定期大会においてそれぞれ決議されたものであることが認められるが、右の程度をもってはこれらの決議をとくに民法第九〇条違反として取りあげるに及ばない。
(古山 川島 奈良)